憲法改正

合区の解消って?

そういえば,2016年の参議院議員選挙で「1票の格差」の是正を図ろうと「合区」が取り入れられたと聞いたけど、そもそも合区とか1票の格差ってどういう意味なの?
合区というのは、簡単にいうと参議院選挙で今まで二つの選挙区を1つの選挙区にしてしまうことなんだけど、参議院の選挙区ってどういう風に決められるか知ってますか?
えーと、たくさん選挙区があって、1つの選挙区で1人が当選するんだっけ?
それは衆議院選挙ですね。参議院選挙の場合、都道府県が選挙区の単位になっているんです。それで、その中で何人当選するかは都道府県によって違うんです。例えば、東京だと12人、大阪だと8人、沖縄2人みたいな感じです。
あー、そういわれれば、そんな感じだった気がする。そしたら人口が少ないところはひとりしか当選しないの?
正確に言うと、参議院選挙って毎回半数ずつ入れ替えるから、それぞれの選挙区は偶数じゃないといけないんですよ。だから、さっき言った沖縄なんかで言うと全体だと2人ですが、毎回1人が入れ替わるんですよ。
なるほど、そうすると各選挙区必ず2人は国会議員が出るんだね。
そうなんです。だから、都道府県が選挙区の単位になると、各都道府県から必ず2人以上は国会議員が出るんですよ。
なるほど。当選する人の人数ってたしかそれぞれの都道府県の人口の多さに比例だよね?
そうなんです。なぜかというのはこの前説明しましたね。(*「1票の格差って?」をご覧ください。)
うん。
それで、本題に戻ると、2016年の参議院議員選挙の選挙区の選挙で、人口の少ない「島根県と鳥取県」、「高知県と徳島県」をそれぞれくっつけて一つの選挙区にしました。
つまり、これまでの都道府県を選挙区の単位とするやり方をやめて、人口の少ない県をくっつけて一つの選挙区の人口を増やして「一票の格差」の是正を図ろうとしたんです。
なるほど、1つの選挙区で人口に差が出ないように、人口が少ない県をくっつけたんだね。
そうなんです。このように地方と都市部の選挙区の人口に差があることが「一票の格差」の原因だと考えれば、「合区」は「一票の格差」の問題を解決する方法としては非常に分かりやすいですが、これには大きな問題があります。
どういうこと? 解消されるんならいいんじゃないの?
実は,この「合区」の決定は、国会で十分な議論がないままに,とりあえず付け焼き刃のような形でされました。
どうして、上記4県を「合区」にするのか、他の地方はどうするのか等の議論も十分にされていません。こんな状態で決まったものですから、「合区」された県からは「地域の格差がどんどん広がるのでは」という不安の声が上がっています。
でも「一票の格差」は解消されたんでしょ?
とんでもありません。その場しのぎですから,「合区」されても最大3倍程度の格差が残っていて、憲法違反の状態は相変わらず続いています。
どうすれば解決するの? 例えば自民党はどんな風に言っているの?
自民党は,例えば2018年3月に発表した改憲素案というもので,参議院については,各都道府県から少なくとも一人が選ばれるようにしよう,という案を出しました。
なるほど,そうすれば,大都市ばかりじゃなくて過疎化が進む地域の声を国会に届けられるし,「一票の格差」の問題も少しはましになるということだね。いいんじゃないの。
と,とんでもありません!
な,なんで? なんでそんなに興奮するのさ?(びっくりしたなぁ)
いいですか!憲法43条は、「両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めているんです。つまり、衆議院議員も参議院議員も自分を選んだ地域の人だけのために代表して政治を行うのではなく、国民全員のために国民全員を代表して政治を行わなければいけない,ということなんです!
そ、そうなんだ。。。(キャラ変わってない?)
憲法は,それを前提に全体の組織を定めているんです!
参議院を地方の声を代表する機関にするということは,憲法の仕組みを根本から変えるものですから,単に選挙制度だけいじればいいなんてもんじゃないんです!
で,でも,地域の声が反映されるのはいいんじゃないの?
よく考えてください。確かに,地方では過疎化が進み,人口や産業もどんどん大都市に集中しているのは事実です。でも,だからといって,地方の人だけに特別な権力を与えるのはおかしくないですか?
たしかに。
例えば,男女格差は日本は世界でもとても大きいと言われています。だからといって,女性に2票の選挙権を与えるとすればおかしくないですか。
あるいは,LGBTの人たちは,未だ少数者です。その解決のために,その人たちだけに1票以上の選挙権を与えるのですか?
少数であることから様々な問題が起きているのは地方と都市だけではありません。にもかかわらず,地方だけに特別な権力を与えることに合理的な理由はありますか?
そう言われてみれば,たしかにおかしいね。
もちろん,地方と都市の格差問題を放置していいわけではありません。
ただ,この問題を地方だけの問題と考えることがおかしいと思いませんか。
いわれてみれば。
都会への1極集中が進めば,例えば,大都市が地震にあったりすれば,日本はそれだけで壊滅してしまうかもしれません。
また,大都市に人口が集中することにより,大都市での住宅問題や格差問題も広がるでしょう。
つまり,この問題を地方だけの問題ではなく日本全体の問題として取り上げないことが問題なのではありませんか。
確かにそうかもしれないね。
そういえば,憲法は地方についてどんな風に定めているの?
憲法は92条において,「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」としています。
地方自治の本旨ってなに?(あ、元に戻った)
ここにいう「地方自治の本旨」とは,住民の意思に基づいて選ばれた議員が組織する議会が,その地方のことについて決めていく,ということです。
当然のことですが,その地方のことを一番よく知っているのは,そこに住んでいる住民です。その住民が自分たちに関係する様々な地域のことを主体的に決めていくことを,憲法は予定しているのです。
なるほど
従って,地方の過疎化などの問題は,国とともに,地方の議会が主体的に話し合って解決していくべきことです。そして,国は,地方がそこで決められたことを出来るだけ自由に行えるよう,財源の裏付けなど様々な仕組みを整える必要があります。
都道府県は自分たちのことを自分で決めていくことは今でも出来るでしょ?
いえいえ,なかなそうなっていませんよ。
例えば,沖縄を見てください。自民党は,一方で地域代表を重視するような主張を行いながら,基地以外での発展を目指している沖縄市民の意向を無視し続け,沖縄のみに極端な米軍基地の集中を行っています。

そういえばそうだね。
本当に各地方の意向を国政に反映させるというのであれば,憲法95条が,「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」と定めているのですから,在日米軍を沖縄に駐留させてよいのかについて,沖縄でこの住民投票を行いその意思を反映させるべきでしょう。
このような措置も取らず,「地域の声を反映させる」などという大義名分で憲法を改悪するのは,「地域のボス」を生き延びさせるための党利党略に他なりません。
そうか… よく考えてみるよ。
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