憲法改正

憲法改正の手続ってどうなってるの?

最近、憲法改正が話題になっていますが、改正手続ってどうなっているの?
憲法は96条で、憲法を改正するには、
①各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が発議し、国民に提案されること
②特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、国民が、その過半数の賛成をもって承認したこと
が必要と言っています。
普通の法律の場合と、国会での審理の仕方は違うんですか?
衆議院と参議院の両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成で可決されると、国会が憲法改正の発議をすることになります。
発議するのも、法律に比べて要件が厳しいんですね。
今の状況では、そうでもないんです。2018年3月末の時点では、憲法を変えようという勢力が衆議院でも参議院でも3分の2以上を占め得る状態になっています。
たしかに。これまでの選挙で各政党が掲げるのは色んな公約の展覧会みたいで、特に憲法改正に絞って、投票先を選択していませんからね。
そうですよね。でも、国民は憲法改正を必要ない、とか特に緊急の課題と考えていなくても、国会がこうした構成になってしまうと、憲法を変えようという政党の中で「変える」という意思統一さえしてしまえば、発議できてしまうんです。
そういえば、最近、世論調査でもっと慎重審議するべきって意見が多い法案なのに、国会で強行採決されたり、政府や与党がこれを無視することが頻発しているような気がする・・・・。
とても危険な兆候ですよね。
じゃあ、発議されたら、②の投票って、どういう風に実施されるの?
国民投票法という法律で、国民投票は国会の発議から、わずか60日~180日で実施されると決められています。
早ければ2ヶ月で結論を出さなければならないということか。憲法のことなんて日頃考えて生活していないのに、いきなり選べって言われても。
その辺も問題で、国民にしてみれば、投票までの期間がとても短く、よく理解できないままに判断を求められることになりかねません。その上・・・・
まだあるんですか?
現在(2018年3月末時点)の国民投票法では、有効投票の2分の1以上の賛成があれば憲法を変えられるとしていて、最低得票率や絶対得票率の定めがありません。
最低得票率(さいていとくひょうりつ)って?
単に賛成票が反対票を上回るだけではなく、ある一定の投票率以上になることも憲法改正の条件にする方法のことです。
じゃあ、絶対得票率(ぜったいとくひょうりつ)は?
同じく、単に賛成票が反対票を上回るだけではなく、賛成票の数が有権者全員の中で一定の割合以上になることも憲法改正の条件にする方法のことです。
こういうのが定められていないと、どうなると?
極端な話、3人しか投票をしなかった場合、2人が賛成すれば、改正できてしまう、ということです。
え~!有権者のほとんどが投票してなくても、それだけで憲法を変えられてしまうの!
日本弁護士連合会も「国民の意思を十分に、かつ正確に反映するものとはいえない」として投票率に関する規定(最低投票率または絶対得票率)を設けるよう求めていますね。
あれ、そういえば、憲法は、国民投票の方法以外の方法もありって書いてませんでした?
はい。「国会の定める選挙の際行われる投票」となっていますので、通常の国会議員の選挙と一緒に投票をすることもできます。
そうなった場合には、普通の選挙の時の争点と一緒くたに、憲法の問題も考えなきゃいけなくなるんですね。ますます、理解不能かも・・・。
その上、広告規制も整っていないので、資金力がある方がバンバンもっともらしい広告を出して、誤った理解を植え付ける危険性も指摘されています。
私にも投票権が与えられるって聞いたから、投票できるようにしっかり勉強しなくちゃ。
そうですね。平成30年6月20日以降に実施される国民投票の場合、18歳以上の国民に投票権が認められます。ただ、公務員や教育者による地位を利用した投票運動は禁止となっているので、学校の先生方は、生徒達にどう説明したら良いのか困っているんじゃないんでしょうか。
何だか、不安になってきた。
憲法改正の手続自体、こんなにたくさんの問題があるのに、放置されているのです。これをそのままにして、「ずっと変えてないから」みたいな感覚で、簡単に憲法を変えて良いものではないと思いますよ。