憲法改正

安倍改憲案にある教育無償化って?

自民党が追加しようとしている憲法26条3項の素案が出たね。
「③国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。」(2018年2月25日時点)
ん??教育の無償化なんてどこにも書いていないね。
そうなんだよ。結局、自民党は、教育の無償化と声を大きくして言っているけれども、結局、自分たちで考えた憲法草案には「教育の無償化」なんて一言も入れていないんだ。
それに、「教育環境の整備に努めなければならない。」って書いてるけど、国が整備するように頑張るって書いているだけみたい。
よく見ているね。この規定は国に教育の無償化を義務付けるものではないので、結局は、国が「頑張ったけどだめでした」と言われてしまえば、市民はそれ以上は何も言えなくなってしまうんだ。
え~!何それ。
それに、「教育環境の整備に努めなければならない」とか「経済的理由によって教育上差別されない」って文言は、わざわざ改憲しなくとも、既に今の憲法26条1項や教育基本法にそのことは織り込まれているから全く必要ないんだ。
憲法26条1項
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。

教育基本法第四条
1 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
それじゃあ、多くの費用を支出してまで、憲法26条を改正する必要はないじゃない。どうして、自民党は改正しようとしているの?
安倍政権が本命で改正したいと考えている、憲法9条の改正を実現するためだと言われているね。
どういうこと?
教育の無償化は、確かに国民にとっても必要性があるものだし、国民受けのする政策だよね。それに、教育の無償化は、もともと日本維新の会が改憲で盛り込むよう求めていた条項なんだ。
ふーん。
今の国会勢力(2018年3月25日時点)では、改憲を発議しようとしても、参議院で自民党と公明党の与党のみでは2/3を議員数を確保できない。
そこで、安倍さんは、本命の憲法9条の改憲を実現させるために、憲法改正に国民や日本維新の会にも賛成してもらおうと考えて、必要性のない憲法26条を改正しようとしているんだ。
なんだか詐欺商法みたい。
その通りだね。それに、自民党の改憲草案には、他にも大きな問題点があるんだ。
どんな問題があるの。
自民党が考えている憲法26条3項の素案によると、教育が「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであること」を前提として、国が環境の整備に努めることを規定している。
 
確かに、そう書いてるね。
そうすると、国が未来を切り拓くために必要なものかどうかの判断に関わって、国民が学ぶことが出来る学問や研究を、選別することが出来てしまうという危険性があるんだ。
じゃあ、自分の好きなものを学びたくても、国の都合で禁止されてしまう危険があるってこと?
そうなんだ。教育の無償化のためには憲法26条を改正する必要性がないばかりか、国家による教育への過剰介入を招きかねない。このことからも、自民党改憲草案のような改正はすべきでないと思う。