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一票の格差って?

参議院議員選挙をめぐって「1票の格差」という言葉を新聞やテレビでよく聞くけど,「1票の格差」ってどういうこと?
当たり前のことですが,私たち国民はみんな平等なのですから,国会議員を選ぶ私たちの選挙権も,1人に1票が保障されなければいけません(憲法14条)。
ある人にだけ2票以上の投票権を与える,ある人には1票を0.5票として計算するなんておかしいですよね。
そりゃそうだね。
ところが,口の多い選挙区と少ない選挙区から同じ人数の議員を選ぶとすると,どうしても1票あたりの影響力に差が出てしまいます。
どういうこと?
例えば,1人の国会議員を選ぶのに,A選挙区には有権者が100人,B選挙区には有権者が500人いたとしましょう。
ふむふむ。
A選挙区では51票とれば確実に当選することができますが,B選挙区では,51票とったとしても,別の候補者が例えば200票取ればその候補者が当選しますよね。
たしかに
B選挙区で確実に当選しようと思うと,251票の票数が必要となります。
同じ数の国民から支持されながら,A選挙区では当選,B選挙区では落選というのはおかしくないですか。
ほんとだね。
つまり, A選挙区の有権者はB選挙区の有権者より1票あたり5倍の影響力を持つことになりますよね。これが「1票の格差」と言われる問題です。
でも実際にそんなことが起きているの?
もちろんです!
現在の選挙では,一票の価値は住んでいるところによって異なっているんです。例えば,016年の参議院議員選挙で,一票の選挙の結果に対する影響力が,福井県と埼玉県で3.08倍もの格差が生じていました。
3倍も!?
これは,みんな平等に一票を手にしていると思って投票所へ行っているのに,実際には,0.5票になったり,0.3票になったりしていたということです。同じ国民の中に一票の選挙権を持つ人がいたり,一票未満の選挙権を持つ人がいたりするのは,どう考えてもおかしいですよね。
なんですぐに直さないの?
どんどん変動している人口にきちんと比例して選挙区を決めようとすると,それまで地元を基盤に活動している候補者が,突然よく分からない場所で立候補せざるを得なくなったりするから,政党内での調整が難しいんです。
それに,各政党は,どうしても自分の政党に有利なように区割りをしようとしますから,変更はなかなか難しいんです。
でも,一人1票は,民主主義国家での基本的な要請ですから,出来るだけ早期に,かつ公平中立な制度にしなければいけませんね。