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憲法32条 裁判を受ける権利ってどんな権利?

わざわざ「裁判を受ける権利」なんて憲法に規定されているけど、裁判なんて悪いことをした一部の人だけが関係するものなんじゃないの?
普通はみんな、「犯罪を犯すぞ」なんて思って生活していませんから、憲法の規定もピンと来ないですかね。
そうなんです。
裁判には、悪いことをしたかどうかを判断する刑事裁判だけでなく、民事裁判や行政裁判といった種類もあります。
民事裁判?
民事裁判というのは、例えばお金を貸したのに返してくれない、慰謝料を払ってほしい、といったように、当事者間に紛争がある場合に裁判所を通じて請求するものです。その他にも行政裁判といわれるものもあって、例えば国や地方自治体に対してある処分の取り消しを求めたり、公務員の行為によって損害を受けた場合に賠償請求するなどのものがあります。
そうなのか。でも、わざわざ憲法に書いているのはどうして?
まず、民事裁判や行政裁判は、私たちの権利が侵害されていて、裁判外で話し合っても解決できない場合に最後に利用する手続です。ですから、裁判所は、私たちの権利や自由を保護したり不法な侵害を除くための最後の砦になるのです。そんな裁判所が、理由もなく裁判を門前払いしたら大変ですよね。
いつまでたっても、権利は救済されない。
そういうことです。裁判所は、適法に起こされた訴訟については必ず裁判をしなければならず、裁判の拒絶は認められないということも憲法32条には含まれているのです。
刑事裁判については、どういう意味があるの?
刑事裁判では、裁判所以外の機関によって裁判が行われ、刑罰を科せられることがないことを意味しています。
ふ~ん。
刑罰は、私たちに保障された自由や財産、ときには生命までも奪う重大な人権侵害ですよね。
確かに。
ですから、最終的な結論は、公正な裁判所で、適正な手続きが保障された状態で判断されなくてはなりません。まちがっても、捜査機関だけの判断で、恣意的に刑罰が与えられるようなことがあってはならないのです。