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憲法26条 教育を受ける権利~日本の学費と奨学金

大学の学費って高いって聞くけどほんとなんですか?
昔は自分でアルバイトしたお金で学費を払っていたけどね。
大学の学費は、昔に比べて遙かに高くなったんですよ。例えば国立大学でいうと、昭和50年の授業料は年間3万6千円、入学料は5万円でしたが、平成26年の授業料は年間53万5800円、入学金は28万2千円です。私立大学でも、昭和50年の授業料の平均は年間約18万円だったのですが、平成26年の授業料の平均は約86万円です。
そんなに上がったんですか。
そうなんです。なので、今大学生の半数以上が奨学金を借りているんですよ。
奨学金といえば、奨学金を返せないって人が増えているようだけど、甘えているだけじゃないんですか?
きちんと仕事をして払えばいいのに。
そんなことはありません、2012年度の調査では、奨学金の滞納者の8割以上が年収300万円以下でした。つまり、ほとんどが収入が低くて返そうと思っても返せない人たちなのです。奨学金を返済できない人が増えている背景には、若者の間で低賃金・派遣などの不安定雇用が広がり収入が減っていることが背景にあるのです。
とはいえ、財政が厳しい中で教育にそれだけお金をかけていいんですか?
いえいえ、日本は、教育に全然国のお金をかけていない国なんです。実際、2011年の公財政教育支出の対GDP比は、OECD加盟国の中で最下位です。
へー、日本は全然教育にお金かけてないんですね。
そうなんです、日本は、高校・大学の学費が無償ではなく、しかも給付型の奨学金が少ないんですが、そんな国は先進国の中では珍しいんです。そもそも憲法はだれでもその能力に応じて教育を受ける権利を保障しているのですから、学費が払えなくて大学に行けないっていう人がいれば、この権利が保障されているといえるかあやしいですよね。
たしかにそうですね。
なので、今求められているのは、大学や高校の授業料を減らしたり、無償化したり、あるいは給付型の奨学金を作るなど教育にちゃんとお金をかけて、憲法が定めている教育を受ける権利をきちんと保障することなんです。