安全保障

もはや、日本の安全を守るには9条の改正は必要ないんじゃない?

自衛のための軍事力は最低限必要なんじゃないかな。日本国憲法9条がそれも否定するなら、やっぱり改正するしかないんじゃない?
確かに,「国を守る」ということは大事だと思います。ただ,忘れてほしくないのは,国の安全を守る方法は決して,軍事力だけではないということです。
軍事力以外にどうやって国を守るの?
国を守るための方法には,二つあります。一つは,軍事力による抑止力です。「攻めてきたらそれ以上の力をもってやり返すぞ」ということですね。ただ,もう一つ重要な方法があります。それは,相手に対し安心を与えることです。つまり,「こちらは攻めたりしませんよ」というメッセージを与えることです。攻めようとしてこない国を攻めることはありません。
安全保障は,この二つのバランスなんです。
ふーん。
もちろん,今の世界から軍事力を全くなくしてしまう,というのは現実的ではないかもしれません。ただ,軍事力による抑止力ばかりに頼るのはこれも現実的ではありません。
これを維持するには,限りない軍拡競争に陥るからです。そのためには,ひたすら軍備にお金をかけることになり,かえって守るべき国民の生活が犠牲になってしまいます。
本末転倒だね。
まさにそのとおりです。食費を削って食うや食わずの生活をしながら,高価な防犯装置を付けて大きな番犬を飼うようなものですね。
でも,具体的にどうやればいいの?
もう,日本は長年それを実行してきましたよ。敗戦後,日本国憲法を作って,「もう軍事力で世界に不安を与えることはしない」という約束をすることによって,国際社会に復帰し,大きな経済成長を遂げたではないですか。
日本が長年安全だったのはアメリカが守ってくれたからだ,という人も多いよ。
そうでしょうか。アメリカが日本を守ってくれたことがありましたか?朝鮮戦争,ベトナム戦争,イラク戦争にしても,どれもアメリカの国益のために起こされた戦争です。日本を攻めようとした国はありませんよ。
でも中国は攻めたりしてこない?
中国と日本は経済的に大変結びつきが強いんです。長年,日本の貿易相手国の1位は中国ですよ。そんな日本を攻めたりしたら,経済的に大きな打撃を受けます。しかも,中国は,国内では少子化や経済格差,公害の問題など日本と同様の問題を抱えています。経済的な失敗は中国に壊滅的な打撃を与えます。そんな中国が日本を攻めて何の徳にもならないと思いますよ。
確かに、中国からの観光客も多いしね。
そうです。そのような経済的・文化的な結びつきを通じて,「日本から攻めたりしないし,日本を攻めても何の徳にもならない」というメッセージを送ったほうが,軍事力による抑止力よりもはるかに安全を守れると思います。
今は、北朝鮮も対話に向けた動きを見せていますし、今の社会情勢の中で憲法9条の改正は必要ありません。