安全保障

緊急事態条項ってなに?

「緊急事態条項(きんきゅうじたいじょうこう)」っていうのを憲法に加えようっていう動きがあるけど、これって何?
簡単に言うと自然災害やテロなどが起きた場合に、内閣に権限をドバーと集中させることです。具体的には、内閣が国会で話し合うことなく法律と同じ力を持つルールを定めることができ、国民は内閣が作ったこのルールに従わないといけないんです。
なるほど。でも、地震とか大きな自然災害が起きたときに、内閣が臨機応変に法律作って対応できるようになるのはいいんじゃないの?
本当にそうでしょうか?Aさんは大きな自然災害が起きたときに大事なことは何だと思いますか?
んー、やっぱり、人命優先とか、二次災害から逃げるとか、現場の状況は複雑ですし、どんどん変わっていくので、臨機応変に対処することかな。
そうですね、刻々と変わっていく現場の状況に臨機応変に対処していく、そのためには内閣じゃなくて、現場の状況を把握し、臨機応変に対処できる現場の方に判断権限を渡す方が大事なんです。
なるほど。
だから政府に権限を集めるのではなく、現場に権限を下ろすことが大事なわけです。
じゃあそういう規定を作らないといけないんじゃないの?
いえいえ、実はそのための法律はすでにあるんです。災害対策基本法や災害救助法などの法制度はすでにできているんですよ。むしろ足りないのは、事前の準備や訓練、柔軟な法律の運用なんです。
なるほど。
実際に日弁連が被災した自治体に行ったアンケート結果でも、現場の市町村に権限を下ろすことが重要ってことが指摘されていて、緊急事態条項がないことが災害対策に障害となったことはないっていうことが示されています。
なるほど。緊急事態条項がなくても大丈夫っていうのはわかったけど、まあ、べつにあっても問題ないんじゃない?
いえいえ、この緊急事態条項っていうのはとっても危険なものなんですよ。
といいますと?
憲法っていうのは、私たちの自由を守るために国家を縛るものなんですが、緊急事態条項というものは、この縛りを一時的に外してしまうんです。
なるほど。
なので、縛りを一時的に外してしまうことで、国家が好き勝手して、個人の自由や権利が不当に侵害される期間が高くなります。
へー。過去にも悪用された例とかあるの?
そうですね、ナチスや戦前の日本での関東大震災のときなど、緊急事態条項が国家によって悪用された例はホントに多いのですよ。