安全保障

自衛隊のためにも憲法9条に明記すべき?

国民の90%以上が自衛隊に好感をもっている以上、自衛隊の存在を憲法に書き込むことは当然では?
必ずしもそうではありません。まず、どうしてみんな自衛隊に好感を持っているのかな。自衛隊というと、どんなことを想像する?
自衛隊というとまず東日本大震災のときの災害救助活動かな。
確かに、平成27年度の内閣府の調査では、自衛隊の存在目的のトップに災害派遣が掲げられていて、8割以上がそう回答しているね。
自衛隊というと、命を張って国民を危険なことから守ってくれるというイメージがある。
確かに、多くの自衛隊の方々が災害派遣などで、大変な活動をしてくれた。また、戦後70年間、日本の自衛隊は一人も外国の人を殺さなかった、そういう意味で戦争の当事国にはならなかったということがあるね。
確かにそう思う。
だけど、大事なのは、メディアで大きく報道される災害派遣や専守防衛だけではない自衛隊の現状も知ることじゃないかな。
自衛隊の現状?
そう。自衛隊は、専守防衛といいながらも、陸海空あわせて約24万人と独、英、仏、伊を上回る人員を擁している。みんなが知っているとおりに、防衛予算も拡大の一途をたどって、2017年度は5.1兆円にものぼっているんだ。
それは、あんまり知らなかった。
自衛隊の実際の装備を見ても、ヘリ空母やイージス艦やステルス戦闘機など自衛隊には最新鋭の装備があり、世界有数の部隊となっている。そして、戦争法、安保法制成立の後、どんどん最新鋭の装備が追加されるようになっています。
そうなんですか?
2015年に成立した安保法制の結果、自衛衛隊の海外派兵の場面が大きく拡大して、海外での戦争参加を前提とする部隊になり、自衛隊の部隊編成や装備も海外での戦争参加を可能にするものに変わりつつある。以前はGDPの1%以内に抑えることになっていた防衛費も、自民党安保調査会「防衛費はGDP2%(=10兆円)程度に」という提案がされているんだ。
そういう動きの中で、憲法に自衛隊の存在を明記するともっと、防衛費も増えるかもしれないのかな?
そうだね。よく考えないといけないのは、憲法に明記することで、今言った、自衛隊の変化がさらに加速されてしまうということだよ。
じゃあ、憲法に自衛隊の存在を明記するということは現状を追認するということではなく、これからの自衛隊の在り方を大きく変えてしまうということ?
まさにそうなんだ。自衛隊が「軍隊」そのものになってしまうということなんだ。
今まさに、対話による平和維持が大切な状況下で、自衛隊が「軍隊」となる必要性なんてなく、むしろ世界から批判されるだけです。