日本国憲法の特徴~明治憲法との違い
今の憲法は、戦後に制定されたものですよね。それまでの憲法とどんな点で違うんですか。
戦前の憲法は、正式名称を「大日本帝国憲法」と言いますが、ここでは明治憲法としますね。明治憲法と現在の憲法との一番の違いは、主権(しゅけん)が誰にあるかという点です。
しゅけん?
色んな意味で使われることがありますが、ここでは「国家としての意思や政治のあり方を最終的に決定する権限」と理解したら良いです。
今の憲法は、「国民主権」だから、国民に「主権」があるんですよね。
そうそう、学校で習った記憶がありますか?今の憲法は、前文で「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と規定して、国民主権を宣言し、国民主権こそが人類普遍の原理であるとしています。
この点、明治憲法では?
明治憲法では「大日本帝国ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」(1条)と規定して、天皇は元首にして、統治権が帰属するとされ、天皇に主権があるとする考えられていました。天皇の前で国民は「臣民」と位置づけられていたの。
他にも違いが?
今の憲法は明治憲法と違い、基本的人権の保障を徹底しているという点もあります。
明治憲法にも「人権」という考え方はあったの?
明治憲法でも不十分ではあるけれど、通信の秘密や信教の自由などの権利はあったのですが、いずれも、法律の範囲内で許容する制約の多いものでした。
今の憲法では?
明示憲法上の人権が、天皇が臣民に与えた恩恵的な権利だったのに対して、今の憲法では、人権とは人が産まれながらにして持っている永久不可侵の権利と位置づけられています。
他には?
平和主義の採用ね。現在の憲法は、色々な経緯で原型が作られていったんだけど、やはり、戦前、軍部の暴走を止めることができなかった反省と、二度と戦争はごめんだという国民の気持ちにを背景に誕生しています。
憲法9条ですか?
そう。憲法は前文で「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって・・・」と平和主義の採用を宣言し、憲法9条で戦争を放棄、戦力、交戦権を否定しています。